山田記録

オポッサム山田の記録

ダウンを洗う

『ダウンを洗う』

セールで買った1万円のダウン。
暑がりの私は年に数回着るかどうかだ。
ベーシックなデザインなのと、流行に頓着しない私の性格のせいで、もう5年以上の時を共にしている。
明るいベージュのロングダウンコートは、暗くなりがちな冬のコーディネートを華やかにしてくれる。もっとも、年に何度も着ないのだけれど。

5000円の福袋に入っていたダウン。
正直服とか変な柄であればあるほど良いという価値観の中で生きている私にとって、福袋というものは無地をもたらす唯一の存在だ。白い無地のニットやグレーで無地のカットソーの中に目玉として鎮座していた"それ"は、ネイビーのショートダウンだった。
5000円であたたかさと無地が手に入り、とてもよい買い物をした。

ダウンをクリーニングに出したくない。

年に数回しか着ないダウン。
1着当たり1000円もしない福袋のダウン。
冬の終わりにクリーニングに出すことが、万年金欠の私にはとても贅沢なことのように感じられた。

ダウンを洗濯機で洗う。

ダウンは洗濯機で洗うことができるのか。
私はグーグル先生に訊ねた。
「できる」
グーグル先生は答えた。

グーグル先生曰く、「タグを見よ」とのことだった。「洗濯機で洗えるかどうかは洗濯表示タグに書いてある」
私はグーグル先生に従い、タグを見た。ある!書いてある!そう、洗濯機で洗うことが可能か否かは、ちゃんと服に縫い付けられているのである。これは小学校の家庭科で習うし、中学校の家庭科でも習うし、高校でも習う。あらゆる布を適当に洗濯機に放り込み雑にスイッチを押す私は、そんなことすっかり忘れていたのであった。

1万円のダウンは「洗濯機で洗えるし、タンブラー乾燥もできる」と書いてあった。
5000円の福袋に入っていたダウンは「洗濯機で洗えないし、手洗いもできないし、タンブラー乾燥もできない」と書いてあった。「ドライクリーニング一択」
5000円(以下略)に毎年ドライクリーニング代を出したくない私は無視して洗濯機に入れた。結局、洗濯機で洗えるかどうかは、自分の心次第なのである。私は禁忌を犯した。

これは想像なのだが、安いダウンは安いなりに、縫製が甘かったり、生地が良くなかったりするのだろう。洗濯機で回せば糸が切れたり、色落ちや色移り、乾燥機に入れたら溶けたり焼けたりするおそれがあるのかもしれない。だから、完全に自己責任だ。革のバッグを水洗いするのと同じように。

結論としては、ダウン達は問題なく洗いあがった。乾燥機でふかふかにもなった。しかしこれは運が良かっただけかもしれない。自由には責任が伴う。我々はそれを忘れてはならない。

乾燥にあたっては、生乾きではならない。また、型くずれに注意し、洗いあがった時点で羽毛を均等にならしておくこと。ハンガーに掛けてしっかりと中までカラカラに乾かすことが大切だと、グーグル先生は言った。私はそれにやや従った。(ハンガーではなく床に適当に転がしておいた点において、私はグーグル先生の教えを拒んだ)

まとめ
・禁忌を犯すかどうかは己の心次第
・自由は責任を伴う
・家庭科は忘れる

ダウンコートは家でも洗うことができる。その事実を後世に残すために、ここに記す。
じゃないと来年忘れちゃうので。